自宅PCをつけっぱなしにしたくない、ブローカー無料VPSのロット条件やスペックに限界を感じている——そうした方向けの実務です。Windows Serverはライセンス分が乗り、同等スペックでLinuxより月$10〜15前後高いことが多いです。例: Linux 2 vCPU / 4 GB が約$24/月帯なら、Windows同スペックは約$34〜40/月帯になりやすい(プラン・時点により変動。料金プランと公式表で確認)。

公式料金(Windowsプラン) ↗

推奨スペック(目安)

用途vCPU / RAM目安
MT4 + EA 1〜2本1 vCPU / 2 GB検証用の最小構成。CPUスパイクに弱い
MT4/MT5 + EA複数・チャート複数2 vCPU / 4 GB実運用で選ばれやすい帯
MT5 + 重いインジケータ多数/複数口座4 vCPU / 8 GB余裕を見る構成

EA本数はメモリリーク・ログ設定・銘柄数で変わります。まず最小で起動し、タスクマネージャで使用率を見て上げてください。

複数MT・複数口座の運用設計

  • 同一マシンにMTを何本まで — まず2本まで。CPUが常時高騰するなら台数を分けるかプランを上げる
  • プロファイル/データフォルダ分離 — 口座ごとにインストール先または portable 相当の分離を検討。ブローカーの Data Folder 手順を正とし、ここでは分離の考え方のみ示す
  • Windowsユーザー分離 — 検証用と本番用でユーザーを分けると設定汚染を防ぎやすい
  • ディスク肥大 — ヒストリー・ログ・スクリーンショットを週次で整理。Cドライブ逼迫はMT異常停止の原因になる

MT4とMT5の運用差

項目MT4MT5
実行ファイルterminal.exe(32bit)terminal64.exe(64bit)
リソース軽めだがマルチスレッド弱い重いチャートでRAMを食いやすい
OS本番はWindows Server想定(Linux+Wineは非推奨・サポート外が多い)

リージョン選定(東京一択ではない)

EAの約定品質に効くのは「自宅〜VPS」よりVPS〜ブローカー取引サーバーの往復遅延です。NDD/STP系ではサーバー距離が長いと、気配の更新遅れやスリッページ増の要因になり得ます(ブローカー・口座タイプ・流動性次第)。

VultrのLocation名の例(時点により増減。Deploy画面が正):

  • アジア寄り — Tokyo, Singapore 等
  • 欧州寄り — London, Frankfurt, Amsterdam 等
  • 北米寄り — New Jersey, Chicago, Los Angeles 等
  • ブローカーが LD4 / London 系 → London を候補に
  • NY / New York 系 → New Jersey 等を候補に
  • 東京DCの国内・アジア系 → Tokyo が有利なことが多い

手順: ブローカーのサーバー名を確認 → 候補リージョンで最小Windowsを短時間起動 → RDP内から ping / Test-NetConnection で比較 → 不要ならDestroy。レイテンシだけで約定が保証されるわけではない点は前提です。

ブローカー無料VPSとの比較

ここでは特定ブローカー名は出しません(規約・条件が頻繁に変わるため)。ロット条件付きの無料VPS一般との比較軸だけ示します。

  1. 月間ロット条件を安定して満たせるか
  2. スペック(RAM/CPU)が自分のEA本数に足りるか
  3. リージョンがブローカーDCに近いか
  4. 他ブローカー口座を同じマシンで動かせるか(縛りの有無)
  5. 条件未達時に突然使えなくなるリスクを許容できるか

条件を満たせるならコストはゼロ寄りです。Vultrを選ぶ理由は、(1) ブローカー縛りがない、(2) リージョン・スペックを自由に選べる、(3) 複数ブローカー・ツールを同一マシンで試せる、の三点です。

月額の感覚(シナリオ)

金額の正は料金プランの表と公式料金表です。ここは感覚合わせ用の例で、数値がずれても表側を優先してください。

  • 検証1週間 — 最小Windowsを数日だけ起動し、ping比較とMT接続確認後にDestroy。クレジット消化向き
  • 常時1ヶ月 — 2 vCPU / 4 GB Windows 帯(例: 約$34〜40/月)+スナップショット保存分。評価版イメージなら期限前にライセンス込みへ移行

検証後の出口は削除・解約

デプロイ

  1. 選んだリージョン、上表のプランを選ぶ
  2. OSイメージ(Image)Deploy(デプロイ)画面でライセンス込みの Windows Serverを選ぶ。評価版(Evaluation)は180日制限のため検証のみ。本番常時稼働はライセンス込み
  3. 管理者パスワードを控え、RDPで接続
  4. Firewall(ファイアウォール)で3389(または変更後ポート)を自宅IP等に限定

MT4/MT5の技術前提

  • MT4 — 32bit(WOW64)。MT5 — 64bit
  • Visual C++ 再頒布可能パッケージ — ブローカーMTが要求する版をインストール
  • .NET Framework — インストーラが要求する版(3.5/4.x)を有効化
  • 評価版ライセンス — 180日制限のイメージあり。本番はライセンス込みプランを選ぶ

RDPの強化

# NLA有効化の確認(PowerShell・管理者)
(Get-ItemProperty "HKLM:\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Terminal Server\WinStations\RDP-Tcp").UserAuthentication

# ポート変更の最小例(3390)。変更後は再起動が必要。詳細は Microsoft Docs を正とする
Set-ItemProperty -Path "HKLM:\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Terminal Server\WinStations\RDP-Tcp" -Name PortNumber -Value 3390

# 受信規則の例(ポートを 3390 に変更した場合)
New-NetFirewallRule -DisplayName "RDP-3390" -Direction Inbound -Protocol TCP -LocalPort 3390 -Action Allow

# アカウントロックアウト(目安: 5回失敗で15分)
# net accounts /lockoutthreshold:5 /lockoutduration:15 /lockoutwindow:15
  • NLA — 有効のまま運用
  • ポート変更 — 3389直開放を避け、Vultr Firewallでも新ポート+自宅IPのみ許可
  • 二重のファイアウォール — Windows Firewall と Vultr Firewall の両方で許可が必要。片方だけだと繋がらない(考え方はSSH・セキュリティと同じ)
  • ブルートフォース — 強力な管理者パスワード、必要ならVPN経由のみRDP
  • 自分を締め出したとき — RDP不能ならインスタンスの View Console(NoVNC)から入り、Firewall/パスワードを直す

時刻同期

EAの時刻依存ロジックはブローカーサーバー時刻を正とします。OSのタイムゾーンはログ照合用の表示設定です。London/NJ運用でも Tokyo TZ にする必要はありません(任意)。

# 例: 表示を日本時間にしたい場合のみ
Set-TimeZone -Id "Tokyo Standard Time"
w32tm /resync

再起動後の自動復帰(具体手順)

メンテや強制再起動後に「RDPは繋がるがMTが落ちている」が典型です。次をセットで用意します。

  1. スリープ無効 — 電源オプションでスリープ/休止を「なし」
  2. 自動ログオン自宅IP制限(またはVPN)が終わるまで禁止。制限後に必要な場合のみ netplwiz
  3. タスクスケジューラでMT起動 — ログオン時に terminal64.exe / terminal.exe
  4. 確認テスト — Restart → RDP再接続 → AutoTrading がON・口座接続ランプ・EAの顔マーク(笑顔)を確認
schtasks /Create /TN "StartMT5" /SC ONLOGON /RL HIGHEST ^
  /TR "C:\Program Files\MetaTrader 5\terminal64.exe"

接続断・再接続の監視

自動起動だけでは「気づかない切断」は防げません。MTはHTTPSの外形監視では足りません。

  • 現実的な下限 — MTのメール/プッシュ通知を有効化し、週に数回 RDP またはモバイルから口座ログイン状態を目視
  • 本格監視 — 別口座アラート、ブローカーの取引履歴メール、別端末からのログイン確認など、VPS外のチャネルでも異常を検知

検証が終わったら必ずDestroyし、Billingで請求を確認してください。